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糖尿病とレガシー効果

今の血糖管理が将来の合併症や死を防ぐ!

  糖尿病を放置し血糖コントロールが悪い状態のままでいると平均寿命が約10年短くなります(図3-4)。しかし、悲観したり怖れたりする必要はありません。糖尿病を早期に発見し血糖管理を行うことで、糖尿病神経障害・網膜症・腎症などの糖尿病合併症(細小血管症)を予防できるのみでなく、心筋梗塞などの動脈硬化による合併症(大血管症)や死亡を防ぐことができることが分かってきました。それを初めて証明したのがUKPDSです。

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UKPDS(英国前向き糖尿病研究)
 糖尿病を「早く見つけて早期に治療を開始する」ことにより糖尿病による合併症や死亡を防ぐことができるか? 

 この疑問に対して、実のところ1970年代はまだよく分かっていませんでした。そこで、英国で1977年より1997年まで平均10年間にわたる前向き研究が行われました(英国前向き糖尿病研究 UKPDS)。新たに発症した2型糖尿病で血糖値を正常に近づけることで血管合併症の発症・進展を抑えることができるかどうかの検討です。

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今の血糖管理が将来の合併症や死を防ぐ

 新たに発症した糖尿病患者を、食事療法の後に薬による血糖管理を行う強化療法群と食事療法のみ行う従来療法群に無作為に分けて、その後の合併症や死亡を比較した研究です。平均10.4年の試験期間中の平均HbA1cは強化療法群7.0%、従来療法群7.9%と0.9%の差で、強化療法群は従来療法群より糖尿病関連合併症は12%、糖尿病特有の細小血管障害は25%優れていました(図3-6)。

 しかし、心筋梗塞などの大血管障害と全死亡は、統計的に有意差は認められませんでした。ここまでの結果では、血糖管理は心筋梗塞などの大血管障害や全死亡のリスクを低下させないということになってしまいます(図3-6)。

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 その後、この試験終了後10年間の追跡調査が行われ、その結果が2008年に発表されました。試験終了後の観察期間は治療法や血糖管理の目標値は主治医と患者に任されました。従って、食事療法のみであった従来療法群の患者さんも、自由に薬を使うことができます。その結果、1年後には両群間でHbA1cの差はなくなっています(平均7.7%)。しかし、HbA1cの差が消失したにもかかわれず、強化療法群では当初のリスク低下の良い効果が10年後も持続していました。しかも、試験期間中に有意差のなかった大血管障害である心筋梗塞や全死亡も有意に低下していました(UKPDS80)。 これをレガシー効果(legacy effect)と呼びます。(図3-7)

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糖尿病とレガシー効果
 英国のUKPDSが示していることは「糖尿病になった人でも生活習慣を改善し必要に応じた薬を使い血糖管理をすることで、健康な人と変わらない元気で豊かな生活を送ることできる。そして、治療の開始は早いほどよい」ということです。そして、早期治療の効果はレガシー効果(メタボリック・メモリー)として10年後まで残っています。「主治医はあなた」です(図3-8、図3-9)。

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