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胃食道逆流症(GERD) ー はじめに 

胃食道逆流症(GERD)とは

逆流性食道炎.png

 GERD(ガード)とは胃食道逆流症(gastro-esophageal reflux disease)の頭文字をとった略語です。「胃の内容物が食道に逆流しておこる病気」という意味です。

 

 様々な理由により、胃内容物が頻繁に食道に逆流するようになると、胃液の酸のため「胸焼け」「酸っぱいものが上がってくる感じ」がおこります。中には狭心症を紛らわしい「胸の痛み」を感じることがあります。

 

 逆流症状のほか、胃酸による「食道のただれ(食道炎)」がおこります。症状があっても食道炎がないとか、逆に食道炎があっても症状が軽いこともあります。

 したがって、逆流による「症状」あるいは「食道炎」の、どちらかがあればGERDと診断します。

GERDと逆流性食道炎の違い

 GERDには次の2つのものが含まれています。

①   逆流性食道炎...内視鏡で食道炎が認められるもの。

②   非びらん性胃食道逆流症...胸焼けなどの自覚症状はあるが内視鏡で確認できないもの。


 逆流性食道炎も非びらん性胃食道逆流症のGERDの一部です。非びらん性胃食道逆流症のことをnon-erosive reflux disease NERD(ナード)と呼ぶこともあります。

GERDとNERD20.png

 












GERDの原因は?

 GERDの原因には、①食道が逆流しやすい状態がある、②食道の粘膜を刺激する強い酸が胃から分泌されている、③(逆流が少なくても)食道の粘膜が過敏になっている場合があります。

 

①  食道が逆流しやすい状態がある

 胃粘膜は自身の酸によって障害を受けないように、自身を保護する機構があります。しかし、食道にはこのような機構がありません。したがって、胃酸や消化酵素が食道へと日常的に逆流すると逆流症状がでたり、食道粘膜に障害が生じます。

 食道の最下部には下部食道括約筋(LES)と呼ばれる輪状の筋肉があって、正常なら胃の内容物が食道に逆流しないように防いでいます。この機能が低下していると胃酸や消化酵素の逆流が起こります。

立っているときや腰掛けているときは、重力が、胃の内容物が食道に逆流するのを防ぐのに役立っており、横になっているときに逆流が悪化しやすいのはこのためです。

 

 また、食後すぐは胃の内容物の量が多く、酸性度も高く、下部食道括約筋が適切に機能しにくくなるため逆流が起きやすくなります。

 

 なお、GERDを起こしやすくする病態に、食道裂孔(れっこう)ヘルニアがあります。

 

 逆流が生じやすくなる要因には、体重増加、脂肪分の多い食物、チョコレート、カフェイン入り飲料や炭酸飲料、アルコール、喫煙、ある種の薬などがあります。

 

②  食道の粘膜を刺激する強い酸が胃から分泌されている

 ピロリ菌に感染していない胃は粘膜の萎縮が進んでおらず胃酸分泌が十分に保たれています。また、逆にピロリ菌に感染した高齢の方は胃から酸の分泌が弱まっています。このような方はGERDにはなりにくいされています。

 

③  食道の粘膜が過敏になっている

 食道に逆流してきた酸にT敏感に反応すると、内視鏡では食道炎はなくても胸焼けなどの逆流症状がおこります。

GERDの原因10.png
GERDの原因20.png



 


























GERDになりやすい人とは?

 当然のことながら、GERDの原因となる状況を持っている人がGERDになりやすいという訳です。そして、それらは①生活習慣の問題、②体型など身体的問題、③その他の問題に分けることができます。

①  生活習慣の問題

・食べ過ぎ、早食い
 食後、とくに食べ過ぎた後は胃が膨らんで過剰な力がかかります。その力を減らすため下部食道括約筋(LES)が一時的に緩み(弛緩)し、ゲップとして空気を外に逃がします。この時、同時に胃酸の逆流も起こります。

・高脂肪食、アルコール、喫煙

  高脂肪食の摂取も胃酸の逆流が起こりやすくなります。脂肪摂取によりコレストキニンというホルモンが分泌されます。このホルモンによりLESが緩み、胃酸の逆流が起こります。

 また、アルコール喫煙も胃酸の逆流を引き起こしやすくなると言われています。

・食べてすぐ寝る

 食後は胃酸逆流がおこりやすい時間帯です。食べてすぐ寝ると、寝ている時間帯が胃酸逆流発生時間となってしまいます。また、「横になる」ということは食べたものが逆流しやすくなる状態といえます。

②  体型の問題(お腹に圧力がかかる体型)

・前かがみ姿勢

 庭仕事や床掃除などお前かがみ姿勢、腹部を締めすぎる服装、お腹に力を入れる仕事あるいはその癖のある人では、お腹全体が圧迫され逆流が起こりやすくなります。

・肥満  肥満(ことに内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満)、骨粗鬆症のため腰が曲がっている人、妊娠は胃が圧迫されるため、逆流の原因になります。

③  その他の要因
  狭心症治療薬、一部の高血圧治療薬は血管の平滑筋を緩めることで効果を発揮します。この作用は食道の平滑筋にも作用することがあり、逆流をおこすことがあります。

GERDになりやすい人.png

 


















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