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腸内フローラ(その5)

あなたの腸内環境は大丈夫?

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 下の「腸年齢チェックシート」を用いて、あなたの腸の老化度を測定してみましょう。以下の3つのジャンル全23問のうち、合計でいくつ該当しますか?

食生活

お通じ

 □ 野菜不足だと感じる

 □ 肉が大好き

 □ 朝はいつも慌ただしく時間がない

 □ 食事の時間は決まっていない

 □ 朝食を抜くことが多い

 □ 牛乳や乳製品は苦手

 □ 外食は週4回以上

 □ アルコール飲料をよく飲む

 □ 便が固くて出にくい

 □ 時々便が緩くなる

 □ 便が出た後スッキリしない

 □ 息まないと出ない

 □ 下剤をよく使う

 □ 便やおならの臭いがきつい

 □ 3~4日に1回しか排便がない

 □ 便の色が黒っぽい

 □ 出た便が便器の底に沈みがち

生活習慣

 □ 運動不足だと思う

 □ いつもストレスを感じている

 □ 肌荒れや吹き出物が気になる

 □ 寝つきが悪い、睡眠不足

 □ タバコを吸う

 □ 顔色が悪く、老けてみられる


 




 












あなたの腸年齢です

チェック個数

腸年齢

4個以下

 実年齢より若い

 あなたの腸年齢は実年齢より若く理想的
 腸内には善玉菌のほうが悪玉菌より優勢

5~9個

 実年齢よりやや高い

 あなたの腸年齢は実年齢 +10歳
 腸内の悪玉菌が増えないように注意しましょう

10~14個

 老化が進行

 あなたの腸年齢は実年齢  +20歳
 腸内の悪玉菌が増えて老化がかなり進行している
 生活習慣を改善しないとさらに腸内環境が悪化する!

15個以上

 もはや老人

 あなたの腸年齢は実年齢 +30歳
 腸内環境に危険信号が!
 いますぐ生活習慣を改善しないと重篤な病気になるリスク大















若い人ほど腸内環境は不良

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 年齢を重ねると人の体は老化します。同時に腸も老化します。加齢に伴う生理的老化により腸の中の老廃物を出す力(腸管運動)が低下し、腸内に有害な腐敗物質が溜まりやすくなってきます。

 若い時に比べて、ウンチのにおいがきつく、出る量も少なくなり、いわゆる「老人性細便」といわれる便になってきます。排便後、いつも残存感があって、すっきりしないのも腸の老化に伴う現象です。

 さらに、加齢に伴って腸内細菌の状況も変わってきます。善玉菌が減少し、悪玉菌が増加してきます。悪玉菌が増加すると腸管運動はさらに低下し、両者は互いに悪循環を形成します。

 このように、腸管運動が低下することと、腸内細菌が変化することを「腸の老化」といいます。

 最近まで、「腸の老化は加齢と共にやってくる」と思われていました。ところが、現在では若い人ほど腸が老化しているようです。前頁のチェックシートを用いて30代と40代の女性250人ずつに腸内環境に関する調査では、6割は実年齢以上で、実年齢以下は4割しかいませんでした。年代別では30代では35.6%、40代では46.8%と若い世代の方が実年齢以下は少ない傾向がありました(腸内美活推進委員会「素顔と腸に関する調査」)。すなわち、若い世代ほど腸の老化が進んでいるということになります。

 若い世代の腸内環境の悪化は深刻なようです。腸内細菌の良し悪しは、これまで説明してきたC.ディフィシル感染症や潰瘍性大腸炎、肥満、糖尿病、うつ病・自閉症などの精神疾患以外にもアレルギーや免疫、がんなど全身の健康に影響を及ぼします。

 「素顔と腸に関する調査」で腸内環境が悪いと自覚している人ほど肌に自信がないという結果もでています。健康と美容のためには腸内環境を意識し悪玉菌を減らし善玉菌を育てる必要がありそうです。

 

善玉腸内細菌を増やすには

 腸は健康状態を自分でコントロールすることができる唯一の臓器です。しかも、食べ物でコントロールすることができます。食生活を改善すれば、3日から1週間ほどで善玉菌が優勢の理想的な状態になります。

 食べ物で善玉菌を増やすポイントはプロバイオティクスとプレバイオティクスです。プロバイオティクスとは人体によい影響をもたらす微生物(それを含む食品)のことで、乳酸菌やビフィズス菌やそれらを含んだ食品です。プレバイオティクスとはプロバイオティクスのエサとなり酵素作りを促す食品のことです。

プロバイオティクス

 プロバイオティクスとして食べた菌は、腸内にいる間に乳酸や酪酸を作り、腸内を弱酸性に保ち、ビフィズス菌や乳酸菌を増やします。また、酢酸や乳酸は腸の蠕動運動を活発にして定期的な排便を促し、善玉菌優位の腸内環境を作ります。

プロバイオティクスには乳酸菌ビフィズス菌などを多く含むヨーグルトや乳酸菌飲料、チーズ、納豆、ぬか漬けなどの発酵食品があります。

乳酸菌には350種類以上、ビフィズス菌には30種類以上あり、整腸、感染防御、免疫調整、抗アレルギー、血圧降下、脂質代謝改善、発がん抑制など実に多くの作用があります。それらの作用の有無や効果は菌種によりそれぞれ異なります。

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ヨーグルト

 プロバイオティクスの代表選手はヨーグルトです。ヨーグルトにはさまざまな善玉菌が使われていますが、人によって効果的に働くものが違います。腸内細菌の種類、数やパターンが人それぞれ異なるように、腸内環境を整えることのできる善玉菌も人それぞれ異なります。

 最近はスーパーなどで、いろいろな種類のヨーグルトが売られています。その違いは中に入っている菌の種類です。容器の表示にブルガリア菌、ビフィズス菌、LG21、L92、LC...などとあるのが、菌の種類です。まずは1~2週間ほど同じヨーグルトを食べ続けてみましょう。便通がよくなるとか便の質がよくなれば、それは自分に合った善玉菌が含まれているということになります。

 食べるタイミングも大切です。乳酸菌、ビフィズス菌は酸に弱く、胃酸に負けてしまいます。生きたまま大腸に届けるためには胃酸の多い空腹時を避けて、胃酸が中和された食中か食後に食べるとよいとされています。

 ただし、これには異論もあります。胃酸に負けず生きたまま大腸に届いたとしても、その菌が定着する訳ではありません。口から食べた菌は2~3日間腸に留まるだけで、その後は便と一緒に体外に排出されてしまいます。腸内に、もともと常在している菌以外は、体にとっては部外者(異物)と見なされ免疫機構で排除されてしまいます。

 しかし、プロバイオティクスとして食べた菌は、すでに述べた様に腸内にいる間に腸内環境を整え善玉菌優位の腸内環境を作ってくれます。また、たとえ死んでいても善玉菌のエサとなり善玉菌を助け増殖させるという働きもしてくれます。

すなわち、生きた菌を食べることにこだわらず、「腸内環境を整える」という目的で「毎日食べ続ける」必要があるということです。


 さらに、自分にあったヨーグルトの善玉菌を見極めることは案外難しいものです。また、善玉菌同士は互いに相乗効果を生みます。したがって、「何種類かを組み合わせる」方がよいという説もあります。

ヨーグルトが苦手な方は...

 ヨーグルトには飲むヨーグルトもあります。また、各種乳酸菌製剤もプロバイオティクスの代表選手です。しかし、ヨーグルトを含む乳製品に対するアレルギーや何らかの理由で苦手な方の場合はどうすればよいのでしょうか?納豆やぬか漬けなどの伝統的な日本食があります。納豆は納豆菌、味噌と醤油は麹菌を用いて大豆を発酵させて作られます。その他、発酵食品には下のようなものがあります。ただし、塩分の摂り過ぎには注意が必要です。

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プレバイオティクス

 プロバイオティクスは菌そのものです。それに対し、プレバイオティクスとは善玉菌のエサとなり善玉菌を増やし、酵素を作る手助けをする食品成分のことです。その代表は食物繊維やオリゴ糖などです。

食物繊維

 食物繊維とは、「人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれている難消化性成分」のことです。糖質やタンパク質、脂質などと異なり消化液の酵素で分解(消化)されず小腸を素通りして大腸まで達します。大腸に到達した食物繊維は腸内細菌のエサとなり短鎖脂肪酸に変換され大腸粘膜のエネルギー源となります。さらに、短鎖脂肪酸は腸内を弱酸性にして善玉菌の増加を促すと同時に、悪玉菌の増加を抑制します。また、炎症の抑制やがん予防に重要な役割を果たしているとされています。

大切なのは、食物繊維が腸内を掃除してくれているのではなく「食物繊維が腸内細菌のエサとなっている」ことなのです。以前は「食べ物のカス」と考えられていました。しかし、現在は糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルに続く「第6の栄養素」とも呼ばれ重要視されるようになってきました。

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維

食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の二種類があります。

 不溶性食物繊維とは水に溶けにくい食物繊維で、水を吸収して大きく膨らみます。その結果、便のカサを増すと共に腸を刺激して蠕動運動を活発にして便通をよくしてくれます。また、発ガン性物質などの有害物質を吸着し体外に排泄します。

 水溶性食物繊維とは水に溶けやすい食物繊維で、便を柔らかくしてスムーズな排便を助けます。食物が腸内をゆっくりと移動することで消化・吸収の速度が遅くなります。その結果、糖質や脂肪分(脂質)の吸収を穏やかにし血糖値の急激な上昇を防ぎコレステロール値を低下させる働きがあり、糖尿病や動脈硬化の予防になります。 


 さらに、水溶性食物繊維にはもう一つの大事な働きがあります。前述の「善玉菌のエサとなり善玉菌を増やし、腸内環境を整える」ことです。これは不溶性食物繊維より水溶性食物繊維の方に多く認められる働きです。

水溶性植物繊維は、海藻類のわかめや昆布、根菜類のにんじんやごぼう、アボカドやオクラなどに多く含まれます。水溶性食物繊維は自然の食材として食べる分には、食べ過ぎるといったことはありません。積極的に摂っていきましょう。

 また、腸内環境をよくするためには、あわせて不溶性食物繊維もバランスよく摂っていくことも重要です。その割合は不溶性食物繊維:水溶性食物繊維=2:1が理想のバランスだと言われています。 

オリゴ糖

 糖質の最小単位はブドウ糖や果糖などの単糖です。単糖が2つ結合したものが蔗糖(砂糖)などの二糖類です。3~10個結合したものをオリゴ糖といいます。オリゴ糖は食物繊維と同じく人の消化酵素では分解(消化)されません。大腸まで運ばれて善玉菌のエサになり様々なよい働きをします。

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