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ジェネリック医薬品

2014年4月

中国産ウナギは、お好きですか?

ジェネリック医薬品とは

 医薬品には、一般の薬局・薬店で販売されている「一般用医薬品」と、医療機関で診察を受けたときに医師から処方される「医療用医薬品」があります。さらに、「医療用医薬品」には、新しく開発・販売される「先発医薬品(新薬)」と、先発医薬品の特許が切れた後に他の医薬品メーカーが製造・販売する「後発医薬品」があります。後者を「ジェネリック医薬品」とも言います。

 ジェネリック医薬品とは先発医薬品の主成分にあたる物質特許が切れた後、「同じ有効成分」で他のメーカーが製造または販売(供給)する医薬品のことです。薬の効き目や安全性は先発医薬品と「同等」で、「薬価が低い(薬代が安い)」のが特徴です。

 

日本でのジェネリック医薬品のシェアーはなぜ低い?

 ジェネリック医薬品の普及は、患者さんの経済的負担の軽減と国民全体の医療費の抑制に繋がります。そのため、国(政府)は積極的にジェネリック医薬品が普及する政策を推し進めています。しかし、欧米諸国に比べると、日本での普及率は低い水準に留まっています(図1)。なぜでしょうか?

 考えられる理由として、以下のことが挙げられるかも知れません。

 薬価の高い先発医薬品の方が医師や薬局の利益が多いため、医師や薬剤師が先発医薬品を使用する。医師や薬剤師の理解が足らない。国や製薬メーカーの努力が足らない。

 しかし、これらはいずれも、その理由ではありません。

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あなたは「中国産ウナギ」はお好きですか?

 中国産ウナギ。国産の半値くらいです。しかし、最近スーパーなどであまり見かけなくなりました。中国産ウナギはどこにいったのでしょう? 国産ウナギの生産量が増えたのでしょうか?

 農林水産省の法令では「日本で飼育された期間が一番長ければ国産」、「中国で養殖され白焼にされたウナギを日本で最終加工(タレをつける)すれば国産」と表記してよいそうです。最近はこの国産ウナギが増えているとのことです。

 中国で養殖されたウナギの餌は「とんでもないもの」が使われている。また、抗生物質や成長ホルモンも大量に入っている。日本人はうなぎが大好きだが、中国人は食べる習慣がない。だから、まともなウナギはない。こんな書き込みがネット上を賑わしています。

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あなたは、中国産のウナギを食べたいと思いますか?

あなたは、自称国産ウナギ(実は中国産)と正真正銘の国産ウナギの区別がつきますか?

 

医師がジェネリック医薬品の品質・効き目・安全性に不信感を持っている

 話を本題に戻します。日本でジェネリック医薬品があまり使われない理由。それは「医師がジェネリック医薬品の品質、効き目、安全性に対して不信感をもっている」からです。

 

新薬(先発医薬品)ができるまで

 新薬の開発が始まり、新しい物質に対して特許が認められます。この特許を物質特許といい20~25年間認められます。物質特許取得後、製薬メーカーはさらに研究・開発を続けます。培養細胞や動物を使った実験(基礎研究)、人に投与して効果や安全性をみる臨床研究です。これらをクリアーして初めて国(厚生労働省)から認可を受け、新薬として生産・販売されるようになります(図2)。通常、9~17年位の時間と300億円以上の経費がかかるとされています。

 

ジェネリック医薬品(後発医薬品)ができるまで

 新薬の20~25年間の物質特許が切れると、その知識・情報は共有財産と見なされ、他のメーカーも同じ有効成分をもつ医薬品を作ることができるようになります。これをジェネリック医薬品(後発医薬品)といいます(図2)。同じ有効成分を持つ薬で、「効き目や安全性は同等」とされています。

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ジェネリック医薬品(後発医薬品)の審査は甘い

 すでに述べたように、新薬の認可には物質特許の取得、非臨床試験、臨床試験など長期の時間と労力そして数百億円という経費が必要です。

 一方、ジェネリック医薬品は物質特許が切れた後の医薬品です。どこのメーカーでも作ることができます。しかも、非臨床試験や臨床試験は不要です。「同じ物質特許(有効成分)を持つ医薬品だから、効き目や安全性は同じくらいであろう」という理論に基づいています。

 したがって、開発にかかる時間は3~5年と短く、経費も1億円くらいで済みます。これが、ジェネリック医薬品の薬価が低い(薬代が安い)理由です(図3)。

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ジェネリック医薬品(後発医薬品)は新薬(先発医薬品)と同じものではない

 厚生労働省によるとジェネリック医薬品とは、新薬と「同じ」有効成分で、効き目や安全性は「同等」だそうです。この「同等」という言葉には注意が必要です。

 広辞苑によると「同じ」は「質、状態、程度などが同一であること 差違がないこと」です。一方、「同等」とは「同程度 同じようなもの」です。すなわち、効き目や安全性が「同等」とは、効き目や安全性は「同じようなもの」を意味します「同じ」ではありません。

 さらに、ジェネリック専門のメーカーによっては「同等」を、勝手に「同じ」と言い換えてテレビのCMやホームページで使っています。注意が必要です。

 また、このことを指摘・指導しない厚生労働省にも問題があります。

 

ジェネリック医薬品は新薬と同じものを作ることはできない

 新薬とジェネリック医薬品の有効成分は「同じ」です。この「同じ」にも注意が必要です。正確に表現すると有効成分の「化学構造式が同じ」という意味です。「同じもの」という意味ではありません。

 有効成分は一種類の純粋な成分、すなわち「結晶」の形に作られ、色々な添加物が加えられ最終的な「薬」の形になります。この結晶の形や大きさが新薬とジェネリック医薬品とでは「異なる」ことが指摘されています。すると、体内での溶解速度・吸収速度や安定性などが異なってきます。その結果、効き目や効き方に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なぜ、同じものを作ることができないのでしょうか? 物質特許が切れても、作り方に関する特許(製造特許)などが残っており、同じ方法で作ることができません。製造方法が異なるのです。また、添加物も異なります(製剤特許)(図4)。

 世界には色々な「塩」があります。岩塩・湖塩・天日塩・現代製法の塩...。主成分はすべて「塩化ナトリウムNaCl」。産地や製法により結晶の形や微妙な成分が異なります。もちろん、味も風味も違います。これと同じようなことだと言えるでしょう。

 

 新薬とジェネリック医薬品は同じものではありません。したがって、効き目や効き方が違うことがあります。また、違う副作用がでることもあります。

 

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ジェネリック医薬品の同等性試験とは

 ジェネリック医薬品の効き目が「同等」は、どのように確かめているのでしょうか?

 厚生労働省は「後発医薬品の生物学的同等性試験」により審査しています。少数の健康成人に薬を投与して、その薬の有効成分の血液中の濃度の推移を比較する検査です。新薬の血中濃度と比較して「80~125%以内」であれば、「同等」と判定されます(図5)。

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ジェネリック医薬品は「中国産ウナギ」と同等かも知れない

 驚愕の事実があります。

 ジェネリック医薬品の物質特許にあたる有効成分は「日本国内で作る必要はない」ことです。さらに、「原産国を記載する必要もない」ことです。

 実際ほとんどの場合、ジェネリック医薬品の物質特許にあたる有効成分は中国、台湾、韓国、インドなどの国外で作られているそうです。そして、原産国の記載もありません。

 有効成分は海外で作られていても、最終的には日本(国内)で製品(医薬品)として仕上げられ出荷・販売されます。したがって、ジェネリック医薬品はすべて「日本製」ということになります。

 前述の養殖ウナギ。最近は「原産地」を表記するように義務付けられました。しかし、なかには1週間位日本で生かしておき、それを「国産」とする悪徳業者もいるとのことです。

 「中国産ウナギ」、産地不詳の「国産ウナジェネリック医薬品はこれらと「同等」かも知れません。
 いや、もっと悪質なのかも知れません。ウナギの場合、その道のプロであれば目と舌で原産地は分かるそうです。しかし、医薬品の場合、見ても飲んでも関係者以外には誰も原産地は分かりません。

 ジェネリック医薬品には今のところ、その原材料に関して記載義務はなく、実際に記載されていません。医薬品に関するそのような知識が一般の人にあるでしょうか? また、必要でしょうか? 医療は信頼関係の上に成り立っています。そこまで疑ってかかる必要があるとすると、その信頼関係はどうなるのでしょう。

 

自分で自分の首を締める?

 医学・医療の進歩は日進月歩です。新薬開発・創薬はそのためには必要不可欠です。今まで治らなかった病気やケガが治る。より健康で快適な生活を支える。安全でよく効く薬は、この目的のための医学・医療の一翼を担っています。さらに結果的には、トータルすると医療費の抑制や病気やケガによる社会的損失を防ぎます。また、医学・科学の発展に寄与します。

 もし、「薬が安い」という理由でジェネリック医薬品にのみに頼り、新薬開発や創薬に力を注がないでいると、やがて医学・医療の進歩が停滞するかも知れません。まさに「自分で自分の首を絞める」ことになります。ジェネリック医薬品を「使うか」「使わないか」。それはあなた次第です。

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